僕の見たものは実際に、そこに建っていた。建っているものがまるで夢のような形をしているだけなのだ。だから実際、都市の中心には、と、僕は目を戻して、思わず「あっ」と大きな声をあげた。
 夢のような形をした建物にばかり目を奪われていた僕は、その時やっと気がついたのだ。
 その都市の中心には、あの〈塔〉があった! 貯水池公園にあったあのおかしな〈塔〉が、当たり前のような顔をしてそこに建っていた。鉄骨とほんの少しのコンクリートで造られたそれは小さすぎて、今まで僕の目に入ってこなかったのだ。
 あそこにあれがある。ということは、……僕は気を落ち着けてあらためて都市全体の姿を見直した。
 あの〈塔〉の周りが今の貯水池公園。そこに続く坂道が僕の学校の前の道で、それを登りきった脇が陸上競技場。あの、高層タワーと宙に浮く巨大な球体などの建物が占めている丘の一画に市長の邸があって……。そうか、市長の言っていた「浮遊するオーディトリウム」というのは、あそこに見える、宙に浮く巨大な球体の建物のことなんだ!
 僕の町の輪郭を思い描きながら、目の前の夢の形をした都市に重ね合わせてみれば、そこに建っている建物の様子がまるで違うのでつい錯覚を起こしたけれど、地形から見てもその全体の大きさから考えても、ここは元のままの町なのだ。僕が始めに感じたように、どこか知らない都市ではない。ここは、僕の町なのだ!
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