何も変わっていないようでいて、実はすべてがすっかり変わっていた。それはどちらでも同じことで、同じでなくなったのは、この僕自身だった。この都市が夢ではなく、現実の町の姿として見られること、そう感じられることが、僕が僕でなくなったことの証明だった。そうなんだ。僕が見ているのは夢なんかじゃないんで、過去なのか未来なのかは分からないけれど、この町はこうなっていてもよかったのだし、もしかしたら、こうなるのが本当だったのだ。
 ここは始まりの都市だった。
 夢のなかで弓子が言っていたように、あの異様な黒いバンは、最初の土地を捜して長い航海を続けているのだろう。そしてこの町の始まりの姿を、僕に見せてくれたのに違いない。こここそが、僕にとっての「あっち」なのだということを知らせるために、ぼくを、どうしてもここに連れて来なければならなかったのだ。でもそれは本当にあの黒いバンが? いや、弓子が? それとも「あいつ」が?
 しかし僕にはもう、それが誰によって仕掛けられたマジックでもかまわない気がしていた。だって僕は今、現にここにいるのだし、夢のような都市が夢ではないことを十分に知っている。
 弓子もまた、僕と同じこの都市を見ているに違いない、もしかしたら「あいつ」と一緒に。僕は弓子と、弓子は僕と、同じものを、今、見ているはずだ。
 いや、そうじゃない。
 僕はだんだん、はっきりと分かってきた。
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